ナクシャトラについて

ナクシャトラについて

ナクシャトラとは、ジョーティッシュ特有の27星座のことです。
※もともとは28あったようですが、現在では27とするのが主流のようです。

星座と言えば12星座。
西洋占星術でお馴染みですが、もちろんジョーティッシュでも使います。

ここでは、27ナクシャトラを12星座との対比で説明してみます。

12星座と27ナクシャトラ

12星座

天空での場所

12星座は太陽の軌道を12分割して、それぞれに星座の名前が付けられています。
天空360度を12の星座に振り分けるため、各星座は30度ずつの幅です。
牡羊座0~30度 牡牛座30度~60度。。。という具合。

12星座と太陽と誕生星座

太陽は天空を一周するのに一年かかります。
牡羊座から始まって、ぐるっと一周12星座を移動して牡羊座まで戻ってくると1年です。
1年は12か月。星座は12あるので、太陽は、ほぼ1ヶ月の間に1星座を移動することになります。

さて、誕生星座は、生まれた時の太陽の位置によって決まります。
例えば、西洋占星術では、3月21日から4月19日まで、太陽は牡羊座に滞在するとしています。そのため、この期間に生まれた人は、生まれ年に関わらず、すべて牡羊座生まれとなります。

27ナクシャトラ

天空での場所

ナクシャトラは月の軌道上に設定されています。
天空360度を27ナクシャトラに振り分けるため、各ナクシャトラは13度20分ずつの幅です。
アシュヴィニ 牡羊座の0~13度20分、バラニ 牡羊座の13度20分~26度40分、クリッティカ 牡羊座の26度40分~牡牛座の10度00分。。。という具合です。
こちらが一覧表になります。

ナクシャトラと月の暦

カレンダーの一日一日にナクシャトラが振り分けられます。
それはちょうど、日本の大安吉日が表された暦のような感じです。

ナクシャトラは月の動きが基準。
月は約1ヶ月(正確には27.3日)で天空を一周するので、1つのナクシャトラに約1日滞在して、次のナクシャトラに移動します。
27ナクシャトラを27日かけて一周し、また元の位置に戻るわけです。

日のナクシャトラは、その日、月が入ったナクシャトラになります。
そして、その日のエネルギーや性質は、そのナクシャトラから大きな影響を受けることになります。

ナクシャトラとは

ナクシャトラの神話

27ナクシャトラと月の関係についての神話があります。

27のナクシャトラはプラジャパティという聖仙の娘たち。
プラジャパティは月の神ソーマに、条件付きで27人の娘との結婚を許します。

その条件とは、27人の娘を平等に扱うこと。
そのため、ソーマ神は27人の妻がそれぞれ住んでいる宿を1日ずつ訪れることで、その約束を果たすことになります。

ところが、すぐにソーマ神はその中のひとり、ローヒニに特別に惹かれるようになり、やがて他の妻と過ごすよりも長い時間をローヒニと過ごすようになりました。

これに不満を抱いたローヒニ以外の26人の妻たちが、このことを父であるプラジャパティに訴えます。

訴えを聞いたプラジャパティは、娘を平等に扱うという約束を破ったソーマ神に死の呪いをかけます。
呪いを受けて、ソーマ神が徐々に死に始めると、ソーマ神を失うという事実に直面した26人の妻たちは驚き、嘆き悲しみます。

26人は間違いに気づき、父に呪いを解くように嘆願しますが、一度かけた呪いを取り消すことができません。
娘たちを悲しませることもできず、苦肉の策として、呪いの内容を変更することで対処します。

ソーマ神への呪いは、死を迎えるものではなく、毎月一度死んで、再び生き返るということを繰り返す、という内容に変更されたのです。

このことがあってから、ソーマ神=月は、ひと月の間に欠けたり満ちたりするようになったということです。

誕生ナクシャトラと日のナクシャトラ

誕生ナクシャトラ

個人の誕生ナクシャトラは、生まれた日、生まれた時間に月が滞在していたナクシャトラを指します。

ジョーティッシュが生まれたインドでは、今でも誕生星座というと、月のナクシャトラを指すのが普通だそうです。

月のナクシャトラは、その人自身の理解を深めるのにとても重要な役割を果たします。それは、月がその人の心を表す惑星とされていて、もって生まれた心の状態が個性に大きく影響するからですね。

また、今でもインドでは、結婚相手を選ぶときなど、相性をみるのにも、月のナクシャトラが使われているようです。ナクシャトラ同士の相性というものもあるのです。

ジョーティッシュで作る誕生チャートでは、月以外にも、すべての惑星にナクシャトラが振り分けられています。12星座と惑星の関係だけでなく、ナクシャトラと惑星の関係からも多くのことを読み解くことができるのです。

日のナクシャトラ

日のナクシャトラは、月の移動で決まります。

月は約一日=約24時間でナクシャトラを移動するので、ほぼ毎日ナクシャトラが変わります。ただし、基準は月の移動のタイミングです。

月はきっちり24時間で移動するわけではないので、ひとつのナクシャトラに滞在する時間は少しずつ異なります。そのため、ナクシャトラが切り替わる時間はまちまちです。真夜中頃のこともあれば、朝だったり、昼間だったりします。

例えば、
6月1日10:18~6月2日10:23 月はスヴァーティに滞在
6月2日10:23~6月3日9:46 月はヴィシャーカに滞在
という具合です。

では、その日のエネルギーを司るナクシャトラは何を基準に決まるかというと、それは、日の出の時刻に月が滞在しているナクシャトラになります。

上の例でいうと、
6月2日
10:23まではスヴァーティ
10:23以降はヴィシャーカ
なので、2日はヴィシャーカが占める時間が長く、ヴィシャーカが担当のように見えます。けれど、早朝、日の出の時刻はスヴァーティになるため、2日のエネルギーはスヴァーティが担当ということになります。

日のナクシャトラでは、担当するナクシャトラのもつ性質によって、その日がどんな行動に向いているのか、どんな結果が期待できるのかなど、その日のエネルギーが決まります。月がナクシャトラを通るたびに、そのナクシャトラのもつ特徴や性質のスイッチを押して、発動させていく感じです。宇宙の天気予報と呼ばれることもあります。

日本では六曜で大安吉日をチェックする習慣がありますが、それと同じように、ナクシャトラはその日の行動の吉凶判断などに使われたりします。

古代ヴェーダの時代から、ヴェーダの儀式や瞑想など神聖な行動や行事、あるいは、結婚式などのお祝い事は、月が好ましいナクシャトラに位置したときに行うべきであると考えられてきました。

それぞれのナクシャトラのもつ性質によって、勧められる行為や勧められない行為があり、性質にあった行動をとると、よい結果につながりやすくなるのです。
例えば、起業する日として適しているナクシャトラ、旅行など移動を開始する日に適しているナクシャトラ、何かを決断するのに適しているナクシャトラなどがあげられます。

日のナクシャトラのエネルギーを活用することは、宇宙からのサポートをもらっているようなものなのです。

ナクシャトラが伝えるもの

ヴェーダ思想の中のナクシャトラが伝えるもの

ナクシャトラの特徴には神話的要素が多く含まれています。

ジョーティッシュという占星術の中のひとつの要素ではありますが、古代の時代には、宇宙と私たち、地上に住むものとをつなぐものとして認識されていたようです。

古代では、時間や季節を測るのに月が使われていました。夜空に浮かぶ月は目に付きやすく、観察しやすかったのだろうとも言われています。夜空を移動する月は、天空の時計に見立てられていました。

季節や時間を計るためのものでもあった月や星々に対して、人々は神々の存在を感じていました。時間や季節を操り、生命の誕生や死をももたらす。そんな月や星々には、崇高な叡智が宿り、その叡智を地上へ届けてくれる力があると信じられていました。

死後、私たちの魂は星々の世界へと旅立ち、神々や祖先たちの世界へと戻っていく。天空のナクシャトラは神々や宇宙のパワーなどが宿る場所と考えられていたのです。

死後に神々の領域であるナクシャトラで過ごした魂は、そこに蓄積されている記憶やエネルギーを引き継いで、再び地上に戻るという風に考えられていたのです。

誕生ナクシャトラが伝えるもの

誕生ナクシャトラというと、個人の誕生チャート上の月がいるナクシャトラのことを指します。

ジョーティッシュでは、個人の性格や特徴を読み取るために、アセンダント・太陽・月の3つが基本になります。この中で、月はその人の心の有り様を表すものとして、特に重要視されます。

月を読み解く際には、必ずナクシャトラを見ます。ナクシャトラからは、個性、性格、特徴、感情など個性についてより深いレベルの情報を得ることができます。

ナクシャトラがもつ性質を表す項目は、支配星、支配神、シンボル、人生の目的、性別、性質、エネルギーなどなど多岐にわたります。そうした、多くの情報を抱えているナクシャトラは、自己発見や自己認識のためのとても有効なツールとなるのです。