アーユルヴェーダ

ギーの現代的分析

前回はギーの良さについて、古典に書かれていることを中心にお伝えしました。

今日は、現代の栄養学などからみたギーの良さをお伝えしたいと思います。今では研究が進んで色んなことが分かってきています。

ギーはバターを煮詰めて水分と不純物を取り除いた純粋なオイルと説明しました。正確には、取り除かれるのは水分と乳固形分になります。

つまり、ギーはバターのもつ良さを引き継いだオイルといえるのです。

では、ギーとバターが共通にもつ良さとは何でしょう?以下に列挙してみました。

その1
バターには脂溶性のビタミンA、D、E、K2が含まれています。
ビタミンAは成長に欠かせない栄養素で、皮膚・粘膜・目の健康に関係しています。
ビタミンDは特に骨の健康。
ビタミンEには特に抗酸化作用。
ビタミンK2も骨の健康。
そしてこれらのビタミンには活性酸素を抑える抗酸化作用があります。
これらビタミンはすべてギーにも残っています。

その2
バターには酪酸(短鎖脂肪酸の一種)が含まれています。酪酸には腸内環境を整えたり、脂肪を燃やしたりする働きがあります。さらに最近では、炎症やアレルギーなどを抑える免疫T細胞を増やす働きがあることなどが分かってきています。

その3
バターには短鎖脂肪酸が多く含まれています。脂質は結合している炭素の数によって「長鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「短鎖脂肪酸」に分けられますが、結合する炭素の数がもっとも少ない「短鎖脂肪酸」は炭素の鎖の連結が短いため、最も分解されやすく、すぐにエネルギー源として利用されやすいのです。

その4
バターはココナッツオイルと同じ中鎖脂肪酸を含んでいます。中鎖脂肪酸は肝臓に直接取り込まれすぐにエネルギーとして燃焼されるので、体内に蓄積されにくく、むしろ体内の余分な脂肪を燃焼してくれます。

その5
特にグラスフェッドの牛の乳から作ったバターには、共役リノール酸が多く含まれています。この共役リノール酸はコレステロールを下げたり、血圧を下げたり、腫瘍を減らしたり、炎症を抑えたりするなどの効果があることがわかっています。

ここまでが、バターがもつ栄養学的な利点で、それはそのままギーに受け継がれているので、ギーの利点でもあるわけです。

では、バターよりもギーがよいとされる点はなんでしょうか。
それは、大きく3つあります。

ギーの良い点1
ギーはバターを加熱し水分をしっかり飛ばしてしまいます。そのため、長期保存が可能なのです。冷蔵庫にいれなくても2~3か月はもつと言われていますが、冷蔵庫にいれておけばもっと長く保管することができます。アーユルヴェーダで治療に使われるギーには10年以上経った古いギーが使われることがあるのです。純粋な油だから長持ちするのですから、使うときには水や他の不純物が入らないように気を付けて使用してくださいね。

ギーの良い点2
バターを煮詰めると、不純物は基本的には鍋の底にへばりついていますが、最後にろ過してすべての不純物を取り除きます。このことによっラクトース・カゼイン・乳固形分などが取り除かれますので、乳アレルギーの方が食べてもアレルギーが起こりにくいのです。

ギーの良い点3
バターに比べて煙点が高くなります。それはバターに含まれていた乳固形分や遊離脂肪酸などの成分がろ過されたからだと考えられています。
油が煙点を超えてしまうとフリーラジカルが発生し様々な病気の原因となります。煙点が高いギーであれば、炒め物などの調理に使っても焦げにくく、フリーラジカルなど健康に有害な物質を発生させにくくします

様々な利点があるギー。バターのもつ良さに加えて、バターのもつ弱みを補って、まさに最高のオイルといえると思います。皆様の日常にぜひ取り入れてみてください。

最後までお読み頂きありがとうございました。
with sincere gratitude.