アーユルヴェーダ

アーユルヴェーダの体質論 カパ

アーユルヴェーダの体質論、ドーシャ理論。
今回はカパのお話です。

カパは水のエネルギーといわれています。

でも実際には、
5大元素(空・風・火・水・土)の内
水元素と土元素から成り立っています。

カパは水元素の性質と土元素の性質を持っているということです。

では、カパについて早速見ていきましょう。

カパとは?

繰り返しますが、
カパは5大元素の
水と土
からできていて、
水要素と土要素の性質が引き継がれています。

水の要素というと流れるイメージ、土の要素というと固定のイメージを思い浮かべますよね。
この2つの要素が一緒になった場合、どういう状態のものになるのかというと、泥です。水と土が混ざりあうと泥になりますよね。カパは泥のような感じのものと思って頂くと、この後説明する性質などを理解して頂きやすくなると思います。

カパの性質

重い、冷たい、柔らかい、油っぽい、緩慢、停滞する、粘着質、滑らか
これが古典に記載されているヴァータの性質です。

<重い>
単純に質量が重いというだけでなく、どっしりとした安定感もこの重いという性質で表されます。

<冷たい>
ヴァータと同じように冷たい性質をもっています。ただし、ヴァータは風の性質による乾燥した冷たさですが、カパは水を含んだ冷たさという違いがあります。

<柔らかい>
柔らかさ。これは最初にお伝えした泥を思い浮かべてみてください。後、体の脂肪。ぷにゅぷにゅしてますよね。ここにもカパの柔らかさが現れています。

<油っぽい>
油性は体の油分を増やす性質です。ぎとぎとにするということではなく、しっとりさせるという感じになります。脂肪はまさにカパの性質をよく表しています。

<緩慢>
動きがゆっくりで鈍いということです。水を想像するとさらさら流れるイメージかもしれませんが、泥をイメージしてもらうと理解しやすいかと思います。

<停滞する>
これは全く動かないという性質。動かないという状態を表すだけでなく、動いていたものを止めるという性質も含まれています。

<粘着質>
これはもうねちねちひっつく働きですね。この働きが主に結合の力を生み出しています。

<滑らか>
なめらかさを与えるものです。すべすべしている、流れやすい、スムーズに動くなどの性質につながっています。

カパの水の要素と地の要素で泥のイメージですとお伝えしました。ここに挙げたカパの性質はどれもそのイメージに近いのではないかと思います。

本格的にアーユルヴェーダに取り組もうとするとき、こうした性質は記憶しておくべき重要なものなのですが、本格的に学ぶほどでないという方も、なんとなく頭の隅に置いておいていただくと、生活の中でのドーシャの働きをよりすんなり理解いただけると思います。

カパの働き

カパは結合のエネルギーです。
結合して形を作り、それを安定させるのが主な働きになります。

具体的に、
〇体に関して
体の構造・臓器などを作る、形をたもつ、組織を作る、関節がなめらかに動くようにする、免疫力、など。
ピッタが燃焼、ヴァータが動きとすると、このピッタやヴァータが活躍するための場を提供するのがカパなのです。物と物とを結びつけて安定させる力ですね。
さらには、関節の動きをなめらかにさせる液体、体液、唾液など、体の中にあって、体がスムーズに動くのを助けているような液体はカパです。ちなみに、ピッタは血液が管轄なので、同じ液体でも血液は除きます。

〇心に関して
忍耐力、許す気持ち、共感力、思いやり、愛情など。
落ち着きや人々を結び付けるような心の働きがカパタイプにはあります。結合の力を心の働きに当てはめてみると理解しやすいと思います。一方で、結合の力が強く働き過ぎると、執着心だったり頑固だったりといった働きがあらわれてきます。

カパが強く働く時間・季節

〇時間
朝と夕方、それぞれヴァータの時間の後からピッタの時間の前までがカパの時間です。
24時間制で切り分けると、朝は06:00から10:00まで、夕方は、18:00から22:00までになります。
朝、早起きできずに、6:00以降の時間にさしかかると、そこはカパの性質が強くなっている時間帯なので、体が重く感じられて、すっきり起きるのが難しくなります。

〇季節
冬の後半から春。春は冬の後半にカパの力でため込まれたものが、温かさとともに緩んで溶け出し、その変化が体につまりを引き起こすことがあります。鼻づまりとか、春に感じる体のだるさなんかは、こうして溶け出したカパが原因なのです。

〇消化のサイクル
食事の直後
カパの時間帯は、消化のために、酵素などの液体を出して胃の中のものを溶かそうとしている時間帯にあたります。
ゆったり過ごすことが勧められる時間帯です。

〇年齢
幼少期から少年期。青年期の手前までです。
赤ちゃんのぽちゃぽちゃとしてみずみずしい肌はまさにカパのたまもの。カパのエネルギーが幼少期から青年期までの成長に関係しているのです。

これでカパの説明も一通り終わりです。カパのもつ力は、私たちの体の基盤を作っているだけでなく、心にも安定を与え、まさに、心と体のつながりに重要な役割を果たしています。
ヴァータ、ピッタ、カパ、それぞれの役割が統合されて、私たちの体も心もできています。そして、それぞれのドーシャがそれぞれの役割をバランスよく果たすことで、私たちは健康で楽しく暮らすことができるのです。