ディナチャリアはアーユルヴェーダでとても大切にされている大きな柱です。
アーユルヴェーダを学び始めると最初に習う場合が多いのがこのディナチャリアです。
ディナチャリアとは?
ディナチャリアという言葉の意味
ディナチャリアは、
ディナ=日
アチャリア=行動
が組み合わさってできた言葉です。
ディナチャリアを英語で表記すると、Dinacharyaになります。
日本語で書く場合にはいくつかのパターンがあります。
ディナチャリア
ディナチャリヤ
ディナチャルア
ディナチャルヤ
語尾が少しずつ違います。
私はディナチャリアを使っています。
語尾の違いは、サンスクリット語の発音を聞いて、文字に置き換えるたため。
発音する人、聞く人によって置き換えた文字に微妙な違いが現れます。日本語にない発音は文字にするのが難しいものです。
ディナチャリアを訳すと、英語ではDaily Routine、日本語では日課になります。
ただ、日課としてしまうとそこにはディナチャリアがもつ大切なメッセージが抜け落ちてしまいます。
ディナチャリアには
- 一日の理想的な過ごし方
- 日々繰り返し行うことが勧められる行為
といった意味が含まれています。
ディナチャリアはなぜ大切?
日々繰り返す日課がなぜそんなに大切なのか。
日課はどちらかというと地道な行為です。その地道な行為を大切にしているのはなぜか。
アーユルヴェーダの根本的な概念に
「自然のリズムに合わせる」があります。
私たち人間はそもそも自然の一部です。
その私たちが自然のリズムから外れて日々を重ねることで、心の不調も体の不調もはじまるのだと考えられています。
テクノロジーの発達した現代社会では、私たち人間は自然のリズムを忘れがちです。
生まれた時から備わっているはずの自分自身のリズムすら、あやふやになっていることが多いもの。
そのリズムを整えるのに、Daily Routine=日々の繰り返し、すなわち、「日課」がとても有効だと考えられているのです。
毎日繰り返し行うことで、徐々に自然のリズムに沿うようになり、体が少しずつ整えられていくのです。
人の心も体も繊細なもの、劇的な変化が必要なこともありますが、本来のリズムを取り戻すには、日々の小さな積み重ねを続けることが確実な手段です。
ディナチャリアで得られるものは?
ディナチャリアを続けることで、私たちが得るものはなんでしょう?
ディナチャリアについては、次のようなことが言われています。
- 健康維持に不可欠なもの
- 体と心と意識を根本から変えるのに必要なもの
- 自然のリズムに合わせるためのベストな方法
- 体内時計を整えるのに有効な手段
- 体の健康だけでなく、自尊心や自制心、心の平安や幸福感も生み出すもの
- 続けることで結果として長寿をもたらすもの
ざっくりまとめると、
ディナチャリアを実践することで、自然のリズムを取り戻すことができ、体が整うだけでなく、心も整い、幸せを感じながら日々を過ごせるようになる
ということになります。
「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道」というセリフを残したのは、イチロー選手。日々の繰り返しを大切にすることで夢のメジャーリーグの舞台で素晴らしい記録を残しました。
体や心を整える場合にも、日々の繰り返し、小さな積み重ねこそが、とても大切なのです。
ディナチャリアの中身
朝の日課
ここでは細かい説明抜きで、主なものを並べてみます。
- 早朝起床
- 口の中を洗う
- 顔や手足を洗う
- 水を飲む
- 排泄を行う
- オイルでのセルフトリートメントを行う
- 目や耳、鼻などのケアをする
などなど。
朝行うとよいことだけでも、朝起きてから身支度するまでたくさんの項目があります。
これらすべてを毎朝丁寧に行うことは、時間的な制約もあって誰にでもできることではないかもしれません。
それぞれの体質や生活環境などによって、私にはこれが必要だなと思えることからはじめてみるのがよいと思います。
一日の過ごし方
ディナチャリアには朝の日課以外にも、一日をどのように過ごすとよいのか、日々の暮らしのなかで定期的に取り入れるとよいことなどが書かれています。
例えば、服装のこと、仕事のこと、運動のこと、入浴のこと、飲酒のことなどです。
こうした様々な項目では、それぞれの体質によって、または、一日の時間帯によって、勧められること、勧められないことが変わります。
そこには、ドーシャ(ヴァータ・ピッタ・カパ)を基準とした考え方があります。
体質も時間も、それぞれ優位になっているドーシャがあり、ドーシャを活かした過ごし方、あるいは、ドーシャを乱さない過ごし方が求められるからです。
ディナチャリアがもたらすものは
バランス
ディナチャリアを日々繰り返すことでもたらされるもののひとつはバランスです。
- 個人個人の心と体のバランス
- 個人のリズムと自然のリズムのバランス
- 個人のエネルギーと宇宙のエネルギーのバランス
毎日こつこつ続けることで、様々なバランスが整い、自分にとって心地よい状態、力を発揮するのに必要なしっかりとした土台ができた状態を作ることができます。
ディナチャリアに記されているすべてを実践できなくても、もちろん大丈夫。
やってみたいと思ったこと、挑戦してみようと思ったこと、そんなことからはじめてみるといいと思います。
そう思ったということは、意識していなくても、なんとなくそれを必要としているのかもしれません。つまり、そこのバランスが少し崩れていたのかもしれないということです。
少し崩れているかも?くらいのタイミングで、そのバランスを整えることができること、それも、日々の小さな積み重ねでできること。それがディナチャリアです。
自分との対話
ディナチャリアの中で、これはいい、自分にあっていると思えば、楽しみながら続けていきましょう。
やってみて自分にはあわないと思ったのであれば、辞めても大丈夫。
合わない気がするのに、いいと言われているからとか、いいと書かれているからといった理由で続ける必要はありません。自分で判断することも大事です。
では、どう判断するのか?
それは自分との対話です。
続けてみて、どう?心地よい?と自分に聞いてみる。
合わないような気がすれば、どうしてかな?と聞いてみる。
ディナチャリアを実践する過程で、自分との対話の時間がとれるということも、大事なことです。
達成感
ディナチャリアを実践すると、結果として心と体が整うという本来の意図からは少し離れますが、達成感が得られるのも、ディナチャリアの良いところです。
毎日実践するのに少し努力が必要なことを、自分との約束事として、日々続けてみる。そうした挑戦の機会としてディナチャリアを利用するのもよいと思います。
「決めたことを続ける」というのは、案外難しいものです。
ディナチャリアの中の何かひとつを選んで毎日続けてみる。最初は意識しないと続かないようなことが、やがて、習慣になって、自然にできるようになる。
そうして「続けることができた!」というときの達成感は本当に嬉しいものです。
この小さな達成感の積み重ねが、やがて、大きなことへの挑戦にもつながります。
「続ける」小さな一歩をディナチャリアではじめて、小さな「達成感」を積み上げてください。
ディナチャリアは
- 一日の理想的な過ごし方
- 日々コツコツ行うことが大切
- 自然のリズムを取り戻す方法
- 続けることで心と体のバランスが整う