夏から秋へと季節が変わると、体も心も自然界にあふれる秋のエネルギーへと衣替えする必要があります。
カレンダーという存在のために、8月=夏、9月=秋、のようにとらえがちですが、実際には、夏の要素と秋の要素は徐々に混ざりあり、グラデーションのように変化していきます。
夏と秋の入れ替わりは、ここまで夏、ここから秋などと線引きはできませんし、移行がはじまるタイミングも、その年の気候条件などが関係するので、固定ではありません。
四季の変化は、自然界の様々なところで目にしたり、肌で感じたりと、五感を使って自然を深く観察することで、知るのが正解。雲の形、草木の色の変化、朝夕の気温の変化などに注意を向けていると、その変化に気付くことができます。
そんなグラデーションで進んでいく季節の変わり目には、体や心に変調をきたしやすくなります。変化に上手に対応できていないからというのが一番の理由です。
アーユルヴェーダでは季節の変わり目にどう過ごすかをとても大切にしていて、季節の変化とともに、暮らしや食事など日常生活での対処法を色々と提供してくれています。
今回ご紹介するのは、秋を快適に過ごすためのヒントです。
いくつかの媒体からポイントとなることをピックアップしています。
夏から秋へ、季節の変わり目のケア
夏から秋への季節の変わり目には注意が必要です。
なぜなら、
・夏の日差しや暑さで疲れが溜まり、体が弱っている
・天候がころころ変わったり、急に変わったりするために、体に負担がかかる
から。
この時期に心がけるべきこと。
1.ピッタのバランスを整える
2.日課で乱れを整える
1.ピッタのバランスを整える
季節の移行期の基本:
次の季節を健やかに過ごすためには、前の季節で過剰に蓄積したものを体から出す
夏はピッタの季節。夏の間の暑さは、ピッタのもつ、熱く、乾燥した性質に強く作用し、体内には過剰に熱が蓄積されます。夏の終わりには、体内に過剰に熱が蓄積されることによるピッタのバランスの崩れがおこりがちです。
そして、次にやってくる秋は、冷たい、乾燥などの性質をもつ風のエネルギー、ヴァータの季節です。
ピッタの季節からヴァータの季節に移り変わるということは、温から冷へと変わるということ。自然界のエネルギーが冷たい性質のヴァータに移行しているのに、体内に過剰な熱を持ったままでは、外と内とでバランスが崩れてしまいます。
そのため、夏から秋への移行の時期にピッタを整えるためにすることは、体内に過剰に蓄積された熱を放出することになります。
以下、ピッタを整えるために知っておくべきことと、その方法です。
・どんな人が対象となるのかを知りましょう
・ピッタが過剰になっているサインを確認しましょう
・過剰なピッタを整える方法を知りましょう
対象となる人
・要注意なのは、ピッタタイプの人。
・ただし、特別に暑さが厳しい夏であれば、他のタイプの人も注意が必要
ピッタ過剰のサイン
ピッタの過剰がわかる簡単なサインは、肌がほてっていたり、赤くなったりすること。
体の内側にも影響するので、肝臓などの臓器にも負担がかかっていたりします。
・ほてりやかゆみ
・消化の問題や強い空腹感
・肌トラブルや炎症
・体の中に過剰な熱がこもっている感覚
・舌に黄色い汚れがついている
・異常に汗をかく
・異常にのどの渇きを感じる
・便がゆるくなる
・嫉妬、批判、怒り、いらいらを感じる
過剰なピッタを整える方法
・自然に体を冷ましてくれる季節の食べ物を食べる
大地の智慧や季節を取り入れたアーユルヴェーダ的食事法が役立ちます。
新鮮な果物や野菜をたくさん食べることで、過剰なピッタを整えることができます。
夏から秋が旬の野菜や果物のほとんどは、基本的に体を冷ます性質をもっていて、自然と体内の熱を取り除いてくれるのです。
味でいえば、甘味のある野菜が勧められます。かぼちゃやサツマイモなどがこれにあたります。
・水分を多めにとる
水分の多い食材を多めにとることや水分補給が勧められます。
晩秋になり寒さがはっきりしてくるころにはお白湯がよいのですが、夏の暑さが残っている間は、常温の水で十分です。
・森林浴
山や森などで過ごすことが勧められます。暑い日差しはさけて、木陰の多い場所でゆったり過ごしたり、軽くハイキングなどがよいです。
2.日課で乱れを整える
季節の変わり目には、生活環境も変化します。
自分で決めたルールを守って生活することは、環境の変化によって乱れがちな生活のリズムを整えてくれる効果があります。
夏はどうしても開放的になりがちです。夏休みもあり、旅行や友達と遊びにでかけるなど、会社や学校に縛られることなく自由な時間を満喫できる季節です。
秋は落ち着きを取り戻して、元の規律ある世界に戻るべきタイミングなのですが、実は、秋はヴァータの季節。ヴァータは風の要素と呼ばれるように、軽く、動きのある性質です。
そのため、落ち着いて元の枠に戻ろうとしても、秋という季節の性質上、なんとなく落ち着かない、不安な気持ちがわいてきて心がそわそわするなどということを経験しがちです。
そんなときに役立つのが、自分でルールを決めた日課をこなすことです。
決まった時間に起きる、決まった時間に寝る、決まった時間に食事するなど、基本的な行動を毎日規則正しく過ごすことは、揺れがちな心を整えてくれる効果があります。
ヴァータの季節には、私たちは風にあおられる凧のような状態になりがち。それでも、凧の糸をしっかる握るように、生活のなかでなにかひとつ固定されたものがあると、飛ばされずにすみます。
日課の利点はそんなところにあります。
本格的な秋の前に、ヴァータの性質にそうような練習を始めてみてください。
秋を快適に過ごすために
秋の自然環境から感じるのどんなことでしょう?
秋は、乾燥していて、枯れ葉が代表するようにガサガサしていて、風が強くて、冷えて、天候や気温がコロコロと変わって、空気が澄んだ感じがして。。。
実はこれらの様子はヴァータの持つ性質と一致します。「同じ性質のものがその性質を増やす」というアーユルヴェーダの原則にそって、自然の中にこれらの様子が増えてくる秋は、ヴァータの季節ということになります。
こうした性質をもつヴァータの季節=秋の過ごし方のヒントをお伝えします。
秋はいつから?
ヴァータには次のような性質があります。
乾燥、軽い、冷たい、粗い、微細、移動する、澄んでいる。
これらの要素が自然の中に感じられたら、ヴァータの季節=秋の季節になります。
日本列島の中でも、季節の移り変わりのタイミングは異なりますし、その年の気候状態によっても、時期が変わります。
ですので、まず、自然環境を観察してみてください。あなたが住んでいる場所で、ヴァータの性質が増えてきたら、秋に突入したということになります。
一般的な対策
季節の変化によるドーシャの乱れには、食事と生活スタイルで調整します。
アーユルヴェーダの論理では、同じ性質のものがその性質を増やすので、反対の性質のものによってバランスをとります。
秋には、ヴァータの性質と反対の性質のものが、バランスが崩れるのを防いでくれます。例えば、乾燥に対して油分、冷たさに対して温かさなどです。
ここで紹介する対策は、個人の体質を考慮していません。体質別にそれぞれ対策はありますが、まずは、基本となる、誰でも取り入れるとよいことをお伝えします。
食事
アーユルヴェーダでは必ず食事の調整が入ります。
今は一年中店頭に並ぶ野菜や果物も多いですね。けれど、自然な環境の中で栽培された、あるいは自生のものは、その季節のドーシャバランスを整える性質を、もともと持っています。
夏にはきゅうりやトマト、スイカなど、水分が多くて、体を冷やしてくれる野菜が旬の物としてたくさん出回り、食事のメニューとして登場します。
同様に、秋には、カボチャやサツマイモなどが食卓によくのぼるようになりますね。これらの野菜にはヴァータのエネルギーが強くなりすぎないように抑えてくれる力があります。
油分のあるもの、滋養のあるものなどを温かい状態でとることは、乾燥や冷たい性質のヴァータ対策にうってつけです。
反対に、減らすほうがいいものもあります。生野菜やスムージーなど体を冷やす傾向のあるものは、夏にはよくても、秋には避けた方がよいでしょう。
生活スタイル
夏から秋への季節の変わり目にもお伝えしましたが、ルーティンワークや日課は秋には好ましい習慣です。
秋の気まぐれで変わりやすい性質、軽くてふわふわするような性質を抑えるにはグラウンディングが必要です。そのために役立つのが毎日同じことを規則正しく繰り返すこと。
朝起きる時間、食事の時間、寝る時間などを決めて、規則正しく繰り返すことなどによって、ヴァータのバタバタする性質が抑えられ、落ち着いて日々を過ごす助けになります。