アーユルヴェーダ

アーユルヴェーダの体質論 ピッタ

アーユルヴェーダの体質論、まずはピッタから。

ピッタは火のエネルギーと説明されることが多いです。

でも、実際には、
5大元素(空・風・火・水。土)のうちの
火と水で成り立っています。

ピッタは、火元素の性質だけでなく、水元素の性質も備えています。

では、早速詳しくみていきましょう。

ピッタとは?

ピッタは自然や私たちの体の中で働く生体エネルギー=ドーシャのひとつです。
何からできているのか、そして、それがどんな風に働くのか、私たちの心や体の働きにどのように関係しているのかを説明していきますね。

ピッタの要素

自然や私たちは5大元素からできているというのがアーユルヴェーダの考え方。
5大元素には 空・風・火・水・土があります。

ピッタはこの5大元素のうち、
火と水
からできてます。

火ってどんな性質をもっていますか?
水はどうでしょう?

火要素と水要素からできているピッタは、火がもつ性質や働き、水がもつ性質や働きの両方を引き継いでいます。

ちょっと話が飛びますが、ピッタは消化機能と深くかかわっています。消化の火ということをどこかで聞いたことがありませんか?この消化の火はピッタの火のエネルギーが関わっています。

消化の働きを考えたとき、ピッタに火の要素、つまり、燃やすという火のパワーだけが備わっていると、もしかしたら、燃やし過ぎてしまうことが考えられます。そこに水の要素が加わっていることで、適度に燃やすことができると考えることができます。

また、
火はモノに燃え移りながら移動はしますが、基本的には、一か所で燃えているイメージがありませんか?
けれどもここに水の要素がもつ、移動する、広がるという性質が加わることで、火のエネルギーが一か所に集中せずに広がっていく、別の場所に移動していくことができるようになります。
火のエネルギーを一か所にとどめずに全体にいきわたらせることができる。ある意味理にかなっているように思えます。

火の要素と水の要素という一見真逆のものがひとつになっているのは不思議にも思えますが、火と水が両極端にならずに
ちょうどよいバランスを保つために一緒にひとつのエネルギーとして存在しているのだとしたら、自然の采配は本当に素晴らしいなと思います。

ピッタの性質

少し油性、温かい、鋭い、流動性、移動性、軽い、生肉くさい
これが古典に記されているピッタの働きです。

これだけだと意味が分からないものもありますよね。「生肉くさい」とか。。。

少し詳しく解説していきます。

<少し油性>
ピッタには油性の性質があります。油性は体の油分を増やす働きです。体をしっとりさせているのはこの油性の働き。しっとりというと水分だと思いがちですが、水分は蒸発してしまいます。体のなかに油分があることで、しっとりさやなめらかさが保たれるのです。

<温かい>
火の要素そのままですね。体温はピッタの働きによるものです。

<鋭い>
「鋭い」ときくと鋭利な刃物を想像しがちですが、この「鋭い」という言葉には、鋭く貫く・貫通する・浸透するといった意味も加わります。つまり、深いところまでスッと入っていく感じです。

<流動性>
流れる、広がるイメージ。水のもつ性質からきています。水を想像してみてください。水が広がっていく感じ。それと同じような作用がピッタにはあるということです。

<移動性>
火の要素を想像するときに、ろうそくに火や焚火の火を想像すると移動するという言葉はそぐわないように感じますよね。でも、燃え広がる火を想像すれと、そう、移動するという性質にも違和感はないかと思います。

<軽い>
火は上へ向かっていきます。軽いから上へ向かう。理にかなっていますでしょうか。

<生肉くさい>
実はこれがちょっと難関です。なぜピッタにこの性質があるのかは、いろんな説があります。汗の臭い?それとも、ピッタは血液に関係しているので、血液の臭いのことなのではないか?など、色々とあるようです。あるいは、ピッタは消化と関係があるので、酵素と考えたならば、アミノ酸からできたタンパク質が生臭いという風な説明をされているサイトもありました。
かなり専門的なアーユルヴェーダの解説サイトですが、興味のある方はこちらから。
アーユルヴェーダの基礎

ここまで古典に書かれているピッタの性質について取り上げました。

ピッタの働き

ピッタは燃焼・変換のエネルギー、
消化、代謝、変換する力などを担当しています。

具体的に、
〇体に関して
消化、吸収、体温、視力、空腹やのどの渇き、肌の輝き、など。
あらゆる意味での消化に関すること、消化して何かに変換することがピッタの管轄です。
燃焼のエネルギーでもあるので、体温もピッタの働きによるものです。
視力がピッタなんてピンとこないと思いますが、見ることというのは、自分の外で起こっている出来事を目を通して取り入れることによって必要な情報に変換する力と考えると腑に落ちると思います。

〇心に関して
知性、決断力、勇気、野心、集中力など
ピッタの燃焼し変換する力は、外から入ってきた情報を自分のなかで消化して自分のものにするという知的な変換も含まれているのです。

ピッタが強く働く時間・季節

〇時間
真昼と真夜中。24時間を均等に夜と昼に二分割し、さらにそれを三等分した場合には、
10:00 – 14:00と22:00 – 02:00 になります。
ただし、古典には、24時間を均等に分割する方法ではなく、
・日の出から日の入りの時間帯の三分の一
・日の入りから次の日の出までの時間帯の三分の一
をそれぞれのドーシャが担当するとかかれています。そうなると、季節によって日の出や日の入りの時刻が変化するので、正確にこの時間通りにはなりません。始まりと終わりの時間は大体の目安と思って頂くとよいかと思います。

ピッタは消化の力でもあるので、一日の中でピッタが担当する時間帯に消化力が一番高くなるということなります。とすると、朝食、昼食、夕食の内、昼食の時間帯が一番消化力が働く時間なので、一日の食事の中で、しっかり、がっつり食べることが勧められるのは昼食ということになります。

もうひとつ、夜中もピッタが強く働く時間になっているではないかとお気づきの方もあるかと思います。そう、確かに22:00 – 02:00もピッタの時間です。ただし、この時間帯は、胃の消化力が活発になる時間帯ではなくて、その先の細胞の修復や入れ変え作業のための時間です。さらに、ピッタの消化力には情報の消化もあるとお伝えしましたが、仕入れた知的情報ということに注目すれば、日中に取り入れた情報を消化する時間がこの夜中の時間帯になるのです。

〇季節
夏から秋。太陽が降りそそぐ夏の間にピッタのエネルギーが蓄積されて、初秋にかけてその影響が見られます。

〇消化のサイクル
消化のサイクルにもドーシャが働いています。ピッタが強く働くのは、食後しばらくしてからとされています。丁度食べた物の燃焼が進んで入ったときとは別のものに変換されていく時間帯です。

〇年齢
ピッタは青年期から中年期。丁度働き盛りのころ、ピッタが優勢になって働きます。社会や家庭でも中心的な役割を果たす年代です。ピッタの火のエネルギーがその中心的な役割を果たす後押しとなっています。

ここまで、ピッタのもつ性質や担当する時間などについて説明してきました。こうしたことを踏まえて上で、ピッタが日常の中でどんな風に作用しているのか、それが、私たちの思考や体質、体調などにどんな風に影響しているのかはまた改めて綴っていきたいと思います。