ドーシャ

アーユルヴェーダの体質論 ヴァータ

アーユルヴェーダの体質論、ドーシャ理論。
今回はヴァータのお話です。

ヴァータは風のエネルギーといわれています。

でも実際には、
5大元素(空・風・火・水・土)の内
空元素と風元素から成り立っています。

ヴァータは空元素の性質と風元素の性質を
持っています。

早速見ていきましょう。

ヴァータとは?

ヴァータは自然や私たちの体の中で働く生体エネルギー=ドーシャのひとつ。
大まかにには、
ピッタが火のエネルギー
ヴァータは風のエネルギー
カパは水のエネルギー
となります。

ヴァータが五大元素の何からできていうのか、それが自然界のどんな働きとなってあらわれているのか、そして、私たちの心や体の働きにどのように関係しているのかを説明していきますね。

ヴァータの要素

ヴァータは5大元素の
空と風
からできてます。

ですので、繰り返しになりますが、
ヴァータの性質には
空要素と風要素の性質が引き継がれています。

風の要素というのは、案外理解しやすいと思います。自然界に吹いている風そのものを思い浮かべてもらうとよいのです。

ところが、空元素というのはちょっと想像し辛いかもしれません。

実は、英語の文献では、
風元素=air(日本語訳では空気)、空元素=ether(日本語訳ではエーテル)としていることが多いです。日本語から受ける印象だと、風はwind、つまり風になりますが、実は、英語文献を参考にすると、風だけでなく、空気そのものも含んだ意味合いになります。

そして、エーテル。エーテルなんて聞きなれませんよね。これははるかギリシャ時代、アリストテレスが提唱した第五の元素からきています。説明すると長くなりますので、割愛してひとことで言うと、エーテルは宇宙空間のようなもののこと。宇宙空間そのものとも言えないのですが、感覚として一番近いものになります。

空元素の日本語訳では、空間という表現がよく使われます。空間というとちょっと誤解されやすいのが、部屋のイメージ。空間は空間でも、この場合囲いのある空間ではなくて、遮るものがなにもない、広い空間をイメージしてください。なので、思い浮かべて頂くものとしては、やっぱり宇宙空間のような感じになります。

ヴァータの性質

乾燥、軽い、冷たい、粗い、細かい、移動する、澄んでいる
これが古典に記載されているヴァータの性質です。

<乾燥>
ヴァータの代表的な性質は乾燥です。ヴァータのあるところ乾燥がついてまわります。ヴァータは風。風が吹くことによって引き起こされる現象が乾燥ですね。

<軽い>
ヴァータは空元素と風元素。どちらも重量はないですね。軽いのです。

<冷たい>
ヴァータには冷えがついてまわります。冷たいというのは、ここでも風元素からきているのだと思います。風は体を冷やしますよね。冬はもちろん風が吹くと冷えるし、夏でも例えば扇風機に長くあたっていると肌が冷たくなりますよね。

<粗い>
がさがさしている感じとか、目が粗い感じなどがこの粗いの意味するものに近いですね。。枯れ葉を想像してもらうとわかりやすいでしょうか。

<細かい>
微細性という言葉で表現されていることが多いです。風は目に見えるものではないし、細かいなんて言葉が当てはまるの?と思われるでしょう。でも、実際に風を想像してみてください。風はどんな隙間にも入り込みますよね?
それがここでいう細かいということなのです。

<移動する>
風は吹き続けながら移動します。この移動も右から左とか上から下とか一方方向への移動ばかりでなく、風が方向を変えて吹くように、吹く先はいろんな方向なので、移動する性質についても、いろんなところへ移動していきます。

<澄んでいる>
空間や風。どちらも濁りのない澄んだ状態です。特に風は常に移動しているので、たまったり濁ることがありません。

ここまで、一通りヴァータの性質について説明してみました。
次は、ヴァータの働きです。

ヴァータの働き

ヴァータは動きのエネルギー、
動き、衝動、創造する力などを担当しています。

具体的に、
〇体に関して
筋肉の動き、細胞分裂、心臓の鼓動、体内の循環、呼吸、まばたき、など。
動きに関することはすべてヴァータの管轄です。

〇心に関して
創造力、適応力、変化を好む、機敏、活動的、表現力、コミュニケーション、など。
生み出す力や変化することなどやはり動きに関係することが含まれます。
心の動きと結びついて考えられるのが思考。ヴァータの場合、思考にその働きが顕著に現れます。何度も繰り返しになりますが、ヴァータは風元素なので、思考も風のように素早く、また、あっちこっちへ飛んでしまいがちになります。

ヴァータが強く働く時間・季節

〇時間
夜明け前と夕方。24時間制で切り分けると、夜中02:00から早朝06:00までと、夕方は16:00から20:00まで。
始まりの時間と終わりの時間は季節によって若干変わってきますので、大体の目安と思ってください。
この中でも特に注目は早朝の時間帯。この、日の出前にあたる時間帯には、ブラフミームフールタと呼ばれる神聖な時間が含まれています。アーユルヴェーダの古典には健康人はこの時間に起きるようにと書かれています。
早朝起床についての詳しいお話はこちらに書いていますので、参考にしてくださいね。

ヴァータは動きのエネルギーです。ヴァータが強く働くこの早朝の時間帯に起きることは、実は6:00過ぎた時間帯に起きるよりも起きやすいともいえるので、早起きを習慣化したい人は、この時間帯に注目してみてくださいね。

〇季節
秋から冬。この時期、徐々空気がひんやりし始めて、やがて冷たい風が吹くようになります。それから、空気の乾燥も気になります。ヴァータのもつ冷たい性質や乾くという性質が自然界で強く働くようになります。

〇消化のサイクル
食事の数時間後から空腹を感じるまでとされています。食べた物が消化されて、やがてそこに空間が生まれるはじめる時間帯です。

〇年齢
中年期から老年期がヴァータの年代です。老年期に入っていくことを、「枯れる」という表現をしますよね?実際に木が枯れた状態は乾燥した状態でもあります。自然界で起こる現象と同じことが人の体にも起こるということです。

ここまでヴァータについて一通り説明してきました。ごくごく基本的な説明だけですが、こうしたことを頭の片隅においていただくと、ご自身の体調管理やメンタルケアにドーシャを活用して頂きやすくなります。